未払いがあれば修理修繕もできない
A社長は5月13日、万博を所管する経済産業省の担当者とネット会議で直談判したという。
「経産省の担当者はC社にも、B国にも支払ってくれるように尽力すると言ってくれました。工事にはうちの下請けで入ってくれている業者もいます。億単位の未払いはうちの会社や他の下請け業者の存続にかかわります」
伊東良孝・万博担当相は5月13日の会見で、万博の建設工事費の未払いトラブルがあることについて問われ、こう述べた。
「契約上の問題は当事者間の話し合いで解決されるのが基本だが、企業からいくつか類似の案件の声があがっている。政府としては参加国に事実関係を確認するとともに、責任ある対応を取るよう働きかける。万博協会でも同様の働きかけをすると聞いている」
建築エコノミストの森山氏はこう話す。
「億単位の未払いとは驚きました。ましてや、フランスの大手ゼネコンが入ってでしょう。万博のような大規模な国際的イベントで、海外の業者と日本の下請け業者が一緒に進める場合、建築の進め方や規格、商習慣の違いなどもあってトラブルが多くあるのは当たり前です。そこをサポート、調整するのが万博協会でしょう。万博関連工事を手がけている業者に私が聞いたところ、万博協会はほとんどトラブル対応をしてくれず、下請け業者が泣かされていると言っていました。万博は約半年間ですが、途中で建物が傷むなど修理修繕が必要になる場合もある。その時も実際に建築を手がけ、精通している業者に依頼するのが当然ですが、未払いでトラブルになっていれば、修理修繕なんて受けられません。これは万博全体の安全性にかかわることです。海外のパビリオンにも問題がありますが、万博協会や経産省、国土交通省などが積極的に仲裁すべきだと思います」
A社長は、複数の海外パビリオンを手掛け、万博の建築現場の様子も見てきた。
「ある大国がパビリオン建設の基礎工事のため2メートルほど地面を掘ったところ、基礎工事が終わった後に水が出てきて、地面のレベルが下がり段差ができたそうです。こんな地盤で万博をやっていいのかと思いました。現場を見ていると海外パビリオンの建築では、どこか問題があるという認識です。自分の子供が万博に行くといっても、海外パビリオンには入るなと注意します」
(編集部・今西憲之)
こちらの記事もおすすめ 大阪・関西万博のアクセス料金が高過ぎ、船もバスもがらがら 定期船片道3800円、駐車&シャトルバス5000円