[撮影:蜷川実花/hair & make up 滝波一樹(GON.)/styling 和田ユキヨ/costume Yohji Yamamoto POUR HOMME]
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 4月に初の著書『半分論』を上梓したSUPER EIGHT村上信五さん。思考の根底にあるものとは──。飾らない人柄そのままに、等身大の姿を余すことなく語った。AERA 2025年5月19日号より。

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──村上自身が「半分論」と名づけた考え方の根底にあるのは、「まずは二択から考える」「迷ったら半分にする」という発想だ。日々の生活の一場面から具体的なビジネスシーンまでを例に挙げながら、頭のなかにある考えを鮮やかに言語化している。

 この世界に入ってから何をどう選んできたかを改めて考えると、そもそもの始まりは「芸能界に入るか、入らないか」だったと思うんです。さらにいうと、「入れるのか、入れないのか」。入った後もまた、「やれるか、やれないか」「やりたいか、やりたくないか」。その二択がずっと続いた先にいまがある。

 10代の頃、僕は一度だけ仕事をサボったことがあって。それ以外は、たとえ仕事に行きたくない日があったとしても「やる」という選択をしてきた。もしその後に「やらない」という選択をしていたらどうなっていたのだろう、と考えることはありますが、そこを膨らませたところで、得られることってほとんどない。そこはもう妄想の世界であり、考えたところで自分に返ってくることってあまりないんですよね。実際に「やる」という道を選んできたからこそ、いまに至っているわけで、グループの改名といった大きな決断についても同じことが言える。「変えるのか、変えないのか」、その先に「変えるなら次はどうするのか」という次の決断がある。

 ある日突然思い浮かんだ考え方というよりは、これまでを改めて振り返り、言語化していったことで「自分はこんなことを考えていたんだな」と思考を整理することができた。その結果、「思考の解像度がめちゃくちゃ上がった」という感覚です。

“生みの苦しみ”なし

──「考えなくて良いことは捨てる」「外的評価は組織が得る。自分の中では達成感を享受する」「人にしてあげた事を忘れ、してもらった事に感謝する」──。社会人として腑に落ち、心に刺さる表現も多い。日々、感じたことをメモに取る習慣があるのだろうか。

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