
研修では、パワハラを防ぐため、怒りを抑える「アンガーマネジメント」について、
「怒りを感じた瞬間、長くても怒りのピークは6秒間なので深呼吸などを実践する」
「怒りをなぜ感じたかを客観的に分析する」
という、斎藤知事へのアドバイスのような説明もあったという。
知事の対応は「やってはいけない」ことばかり
公益通報者保護制度の研修については、Aさんがこう振り返る。
「公益通報者保護制度というのは、通報しやすい環境、通報後に適切な対応と内容の精査、そして通報者がデメリットを受けないようにする点に配慮すべきという話でした。とりわけ通報者の保護が、行政、県民を守ることにつながると話されていた。当然、通報者への報復措置はいけない、通報者の探索、特定をすることは公益通報者保護法に反することで絶対にやってはいけないとも言明されていた。元県民局長は十分に告発内容の調査もされないまま、特定され、報復のような形で処分を受けた。斎藤知事がやっていたことは公益通報者保護と真逆だと痛感しました」
研修を終えた斎藤知事は報道陣の取材を受け、
「たいへん充実した研修だった」
「風通しのいい職場作りに向けて、職員のみなさんとのコミュニケーションが大事、相手の意見に耳を傾けることの大切さを学んだ」
などと語ったが、内部告発をした元県民局長への対応について改めて問われると、
「県の対応としては適切だった」
と、これまでの見解をまったく変えなかった。
斎藤氏のために実施されたともいえる研修だが、その意義は本当にあったのだろうか。
6月県議会で再度の不信任決議案の検討も
兵庫県議会の定例会は6月3日から始まる。百条委員会、第三者調査委員会が斎藤氏らのパワハラや公益通報者保護法違反を指弾してから、初の議会となる。
また、昨年11月の兵庫県知事選挙を巡り、斎藤氏は公職選挙法違反の疑いで刑事告発されている。神戸地検と兵庫県警が2月に、斎藤氏とともに告発されたPR会社を強制捜査しており、捜査の行方が注目される。
自民党県議がこう話す。
「刑事事件の捜査が進展しているという情報が県議会を駆け回っている。また、百条委員会と第三者委員会の結論から、県議会では再度の不信任決議案も検討せざるを得ないだろう。次の議会中に、斎藤知事について大きな動きがありそうな気配だ」
斎藤氏に、「風通しのいい職場」などと言っている時間はないようだ。
(編集部・今西憲之)
こちらの記事もおすすめ 兵庫・斎藤知事の「うそ八百」発言はパワハラ、140万円を不要に支出 知事を断罪する第三者委員会調査報告書を詳報