
トランプ氏はもはや「共和党の異端」ではない
民主党支持者をはじめ反トランプの立場の人々は、トランプ暴政に怒り心頭だが、民主党の反発力は弱く、トランプ暴政を止められないことを認識して、元気を失っている。
そうした反トランプの人たちのせめてもの救いが、あと3年半待てば、トランプ政治が終わるということだ。しかし、トランプ氏3選の話はどんなに否定してもなくならない。
そんな状況下で出て来た今回のトランプ氏の3選否定発言は、大きな朗報だと感じる人も多そうだ。
しかし、ことはそれほど単純ではない。
トランプ氏が、共和党の中では異端で、彼の退任により共和党が昔の共和党に戻るのであれば、確かに、3選否定は安心材料になる。
だが、トランプ氏が共和党の異端であるという大前提がもはや崩れている。
そもそも、これだけメチャクチャなことをやっても、まだ45%程度の支持率を維持していることは驚きだ。多くの米国民、とりわけ共和党支持者は変わってしまったのだ。
トランプ岩盤支持層の投票率は非常に高い。次の大統領選に名乗り出る共和党候補は、トランプ支持層を引き継がないと共和党候補のレースで負けるのは確実だ。これは、トランプ路線を引き継ぐ候補しか共和党の大統領候補にはなれないことを意味する。
もう一つ悪い要素がある。それは、トランプ氏は、退任後も自分の影響力を残すことに必死だということだ。なぜなら、大統領退任後、大統領の免責特権を失い、さまざまな罪で再び訴追されるのが必至だからだ。
後任の大統領が自分の支配下にあれば、刑事訴追を止めやすくなる。
今回のインタビューでも、次期大統領候補として、バンス副大統領やルビオ国務長官などの名前を挙げ、政治運動「メーク・アメリカ・グレート・アゲイン」は、辞任後も継承されるとの見通しを示した。
特に、トランプ氏と最も考え方や政治スタイルが近いとも言われるバンス氏については、ルビオ国務長官など他にも優秀な次期大統領の候補がたくさんいると留保しながらも、バンス氏が「共和党大統領予備選で他の候補者より有利になる可能性が高い」と述べた。実際に彼は次期大統領の有力候補になるだろう。
いずれにしても、トランプ氏が推す候補は圧倒的に有利だ。もちろん、トランプ路線を100%引き継ぐと言わなければ、トランプ氏は支持しない。したがって、次の共和党の候補は、トランプもどきの候補になるのは確実だ。
もちろん、民主党が有力な候補を出して、共和党候補に勝てば良いが、それほど魅力的な候補が出るのかどうか。あまり楽観できない。