立憲は内閣不信任案を出せるのか

 そして、今、非常に気になるのは、野党が外交の基本路線について沈黙していることだ。野田佳彦立憲民主党代表は、外交・安全保障について、大きな路線転換が必要だという話を一切しない。本来は、大きな岐路に立つ日本の進路を決めるためには、国民の声を聞くことが必須のはずだ。

 ところが、驚いたことに、野田氏は、米国と関税交渉を行っている間に衆議院の解散総選挙を行えば国政の空白が生じるから、内閣不信任案の提出は慎重にという立場を表明している。それは国民無視の政治の容認である。自公と立憲の間の談合で対米追従路線を継続したいのだろう。

 立憲は、世界が大きく変わったことを前提にした新たな外交・安全保障政策を打ち出すべきだ。政府は、裏金問題に蓋をしたまま、選択的夫婦別姓にも答えを出さず逃げ続けている。それだけでも十分に不信任に値するのではないか。

 それでも、野田立憲は、国民の声を聞かずに政治家だけの談合で対米隷属路線を続けるのか。

 これから約40日後に訪れる通常国会の会期末までに、不信任案を出すのか、逃げるのか。

 責任野党の矜持が問われている。

こちらの記事もおすすめ 「大型連休」「トランプ大統領」を読者はどう斬る? AERA名物「一行コピー」読者参加企画 優秀作品を発表します
[AERA最新号はこちら]