「週刊朝日」2020年11月6日号の表紙を飾った嵐のメンバー

「500円」で販売されたラップ曲

 2002年には、所属レコード会社を移籍し、新たなスタートを切った。この時期、メンバーは自分たちの個性や強みを模索し、ライブの後には朝まで話し合いを重ねることもあったという。

「櫻井は、ラップ担当としての責任を感じ、日本語ラップブームの中で批判も受けながらも、ヒップホップのライブに参加し、技術を磨きました。その成果が表れたのが、移籍後初の楽曲『a Day in Our Life』。この曲は全編ラップで構成されていましたが、500円という衝撃の価格で販売されました。その戦略が奏功し、多くの人に視聴されたことで、ライブでは鉄板で盛り上がる楽曲となっています」(音楽ライター)

 これまで、嵐は数々の記録を打ち立ててきた。2019年6月にリリースされたベストアルバム「5×20 All the BEST!! 1999-2019」は、初週で130万枚を売り上げ、同年に世界で最も売れたアルバム(330万枚)としてギネス世界記録に認定されている。 

 さらに、5大ドームで全50公演を行ったツアー「ARASHI Anniversary Tour 5×20」では、観客動員数237万5000人を記録し、国内アーティストとしては史上最大規模に。最終公演は全国329館の映画館で同時中継され、約19万人を動員。音楽ライブビューイングとしては過去に例のない規模となった。

 また、2011年1月27日から放送されたauのテレビCMで、3つのギネス世界記録を樹立。これは、24時間以内に地上波で同一商品のテレビCMを60本オンエアしたことによる「24時間以内に地上波放送にて放送した同一商品のテレビCM最多バージョン数」、同日にスペースシャワーTVで同CMを60本オンエアしたことによる「1つの有料放送局で8時間以内に放送した同一商品のテレビCM最多バージョン数」、そして同年1月30日放送の『Music Lovers』(日本テレビ系)内で12バージョンのCMをオンエアしたことによる「1つの30分番組内で放送した同一商品のテレビCM最多バージョン数」という3件が認定された。

「当時、全てのCMを録画するため、1日中録画を行う、いわゆる“ベタ録り”を行い、必死の編集作業を行ったファンも多かったことが懐かしく思い出されます」(前出・芸能記者)

 嵐のメンバーは、それぞれが個性豊かでありながらも、グループとしての調和を大切にしてきた。櫻井はニュースキャスターとしての顔を持ち、二宮は俳優として数々の賞を受賞し、大野はアートの才能を発揮し、相葉はバラエティー番組での明るいキャラクターで親しまれ、松本はライブ演出などでグループの方向性を牽引してきた。

 それぞれの道を歩み始める5人だが、彼らがファンと築いてきた絆は、これからも色あせることはない。

(泉康一)

こちらの記事もおすすめ 「嵐」活動終了でガチファンが涙で語る思い…「5人は永遠につながっているよ」「“解散”という言葉を使わなかったのは私たちへの思いやり」
[AERA最新号はこちら]