
2020年12月から活動休止中だったアイドルグループ「嵐」が5月6日、来春のコンサートツアーをもって活動を終了することを発表した。7日には林芳正官房長官が記者会見で「国民的なアイドルグループとして長きにわたって活動され、多くのヒット曲を生み出した大きな存在だった」と言及するなど、芸能メディア以外でも大きなニュースとなった。
名実ともに国民的アイドルだった嵐について、『夢物語は終わらない〜影と光の“ジャニーズ”論〜』(文藝春秋)などの著書がある作家の霜田明寛さんは、その存在を「テレビの時代に人気を広げていった最後のビッグアイドル」と表現する。
「歌だけでなく、バラエティーにも進出し、テレビに軸足を置きながら、30、40代になってもアイドルとして活躍し続けたのはSMAPでした。SMAPが開拓した土壌に乗る形で、テレビ的人気、CDの売り上げ、ライブの動員数と、すべてを兼ね備えた最後のアイドルが嵐だと言えるでしょう」
嵐の活躍はテレビの盛衰と密接に関係した。テレビが凋落期に入り、さらに楽曲発表の方法はCDに限定されなくなり、アイドルを評価する指標は大きく変わった。
「老若男女から愛され、グループ全員の名前を誰もが言える。それほどテレビの力は大きく、嵐のような人気の出方をするアイドルが再び出てくることは想像しにくい。嵐の活動終了は、テレビの時代が完全に終わった象徴だと言い換えられるかもしれません」
ファンクラブサイトで公開された動画にはメンバー5人がそろって登場。1年半ほど前から、5人で集まって活動再開を含めて話し合いを重ねていたが、“復活”という結論にたどり着くことは難しかったと語られた。
「コメントの内容からも先の活動について悩んだ様子や、二転三転した様子がうかがえました。この1年半で事務所の体制は大きく変わり、5人のうち2人は別の事務所所属になりました。活動休止を発表した19年当時に思い描いていた船の進み方に、予想もしてなかった波が押し寄せ、思う通りにならなかったのではないでしょうか。21年から『活動休止』としていたのは、もちろん再開を選択肢として残していたからでしょう。旧ジャニーズ事務所をめぐる逆風を受けたうえで決めた進路だったとも感じました」(霜田さん)