
「水増しとの声が出るのは仕方ない」
「AD証で入場する関係者数もカウントして、水増しのような発表をしているとネットで疑念の声が出ているのも仕方ない」
こう話すのは、万博会場で会った大阪府関係者のAさん。
「府庁でも、関係者数を入れた数字で、100万人、200万人を超えたと区切りのいい数字で喜んでいますが、大丈夫なのかと首をかしげている職員がかなりいます」(Aさん)
なぜ、AD証で入場した関係者を入れてカウントしているのか。万博誘致にかかわる経済産業省の幹部に取材すると、こう打ち明けた。
「2820万人、1日あたり15万人という想定が高すぎたのではないかと痛感する。万博を誘致するには、それくらいの数字を出さないと当時はダメだったのでしょうが、日がたつにつれ、重くのしかかってくる」
2820万人という想定来場者数は、日本政府が2017年9月に博覧会国際事務局(BIE)に提出した25年万博の提案書に書かれていた。日本はこの提案書をもとにプレゼンを行い、18年11月にあったBIE総会の投票でロシアとアゼルバイジャンを破り、万博開催を決めている。その後、19年にBIEに提出した登録申請書にも2820万人という来場者数見込みは記載されている。
では、この2820万人には、AD証で入場する関係者は含まれるのか。
万博協会と担当大臣で食い違い
万博協会は想定来場者数の2820万人には、スタッフや報道機関などAD証で入場する関係者を含めるという見解を明らかにしている。
だが、4月25日の記者会見で伊東良孝万博担当大臣は、2820万人にAD証で入場する関係者数が含まれるのかと聞かれ、こう答えた。
「BIEに登録申請書を提出した当時は、関係者を含むのか、含まないのかといった精緻な議論はされていなかった。一方で、博覧会協会で運営費などの議論をする際には、2820万人はチケット購入者が前提で考えてきた」
万博協会の見解と異なり、チケットを購入した一般入場者数だけで2820万人という前提だったというのだ。