PC NIKKOR 19mm f/4E ED
PC NIKKOR 19mm f/4E ED
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ついに登場!超広角PCレンズ

 35ミリ判一眼レフシステムにおいて、いわゆるアオリ撮影を可能にするPCニッコールに、焦点距離19ミリの超広角モデルが登場した。アオリは、レンズの光軸を通常とは変えることで、被写体の形やピント位置をコントロールする撮影方法。かつては大判カメラでの使用が多かったが、近年では35ミリ判一眼レフが中心になっており、対応レンズの需要はますます高くなっている。キヤノンのTS-E17mm F4Lに、やや遅れてではあるが、ニコンが今になって超広角のPCニッコールを投入してきたのは、そうした背景からだろう。焦点距離を19ミリとしたのも、大判カメラで建築物やインテリアを撮影する際の最も一般的な画角に近いからだという。

 業務用途に向けて設計されただけに、超高画素機との組み合わせでも余裕で対応できる非常に高い光学性能があり、また、アオリ撮影の多様な撮影意図に応えるだけの高い操作性も備えている。

 デジタルでは画像処理でアオリを駆使して撮ったかのような写真も簡単にできてしまうが、やはり光学的に撮影された写真にはかなうものではない。建築写真家にとって不可欠なレンズになるだろう。

都庁。シフト機能を使って真っすぐになるよう撮影。
都庁。シフト機能を使って真っすぐになるよう撮影。
都庁。シフトなしで撮影したもの。35ミリ判のシステムで焦点距離19ミリの画角は適度にパースを残した臨場感あるアオリ撮影ができる。大判カメラに親しんだ写真家にとって違和感の少ない画角でもある●D810・絞りf11・125分の1秒・ISO64・AWB・JPEG
都庁。シフトなしで撮影したもの。35ミリ判のシステムで焦点距離19ミリの画角は適度にパースを残した臨場感あるアオリ撮影ができる。大判カメラに親しんだ写真家にとって違和感の少ない画角でもある●D810・絞りf11・125分の1秒・ISO64・AWB・JPEG

デザイン
ニコンらしい精悍なデザインにティルト・シフト機構が組み込まれている。高性能ニッコールの証しである金環や、各所に施されたたくさんの目盛りが男の子心を誘うも、いかにも仕事道具という外観

使用感・操作感
作動方向を撮影意図に応じて自由に設定できるPCレボルビング機構、ロック不要で的確に動くシフト機構など、PCレンズとして十分な操作性をもつ。ただピントリングが不用意にズレやすいので注意

描写性
大きく張り出した前玉から想像できるように光学性能は極めて優秀だ。収差の類は高いレベルで補正されており絞り開放から画面隅々まで像が安定している。ナノクリスタルコートの採用もあって逆光耐性も非常に強い

◆曽根原 昇

●焦点距離・F値:19ミリ・F4●レンズ構成:13群17枚(EDガラス3枚、非球面レンズ2枚)●画角:97°●最短撮影距離:0.25メートル●最大撮影倍率:0.18倍●フィルター径:使用不可●アオリ機構:シフト、ティルト直交および平行式。シフト量:±12ミリ、ティルト量:±7.5°●レボルビング:左右90°、PCレボルビング:左90●大きさ・重さ:φ約89×124ミリ・約885グラム●価格:44万2800円(実売39万8510円)●URL:http://www.nikon-image.com/