現場に入ってコンサルティングをしていると、非常に気になるのが「流行のスタイル」に飛びつく会社が多いということだ。多様性の時代である。人の価値観も考え方も多様だ。どんなシステムも、どんなスタイルも、すべての組織に馴染むことはない。

 サーバントリーダーシップやティール組織の考え方は、組織の成熟度や文化に合わせて段階的に導入すべきだ。そのためにも、何より継続的な教育が必要である。

 「若い人の感性が大事」

 とはいえ、そのテーマ(経営やマネジメント、マーケティング、商品開発等)について詳しく知らなかったり、仮説思考もなかったりするのであれば、彼ら彼女らの意見は受け入れがたい。次のパターンを見てもらいたい。

 かつては(1)(2)ばかり採用され、(3)(4)は無視される組織が多かった。しかし現代は、心理的安全性を高めようと、(3)も(4)も無視されないようにする組織が増えている。

 とはいえ、もちろん会社が採用するのは(1)や(3)である。"当てずっぽう"な意見や主張である(4)は、昔と変わらず受け入れられないのだ。

 上司もそのことを、しっかり認識することだ。そして毅然とした態度をとるようにしよう。

 「私は強く言えないタイプだから、サーバントリーダーシップを発揮したい」

 などと安易に決めないこと。リーダーシップのスタイルは、自分の性格で決めるのではない。部下の考え方やレベル感で使い分けるものだからだ。自分視点でもなければ、世間の流行の視点でもない。あくまでも他者視点で、必要な仕組みやスタイルを選ぶことだ。

「相手の立場に立って考える」

 奉仕と自律のリーダーシップ、組織形態は、たしかに組織を強くするための有効な手法である。

 しかし、導入の手順を誤れば、部下からの逆パワハラにつながりかねない。"召使い上司"にならぬよう、組織文化や部下のレベル感を見極め、段階的にスタイルを選択するようにしよう。

 「相手の立場に立って考える」ことがビジネスの基本なのだから。

(横山 信弘 アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長)

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