党内の減税派を批判していた枝野元代表

野田氏の「増税」で党が分裂した過去

 実際、野田氏の会見の数日前から、複数の立憲民主党の国会議員に話を聞くと、

「何らかの減税をしないと、党が割れてしまう」
「自分は増税側だが、党が割れると大変なので、なんとか減税に押し戻すように幹部に働きかけている」
「野田氏が枝野氏と話し合って、調整している」

 などと言っていた。

 かつて野田氏は消費増税によって党を分裂させたことがある。2012年、「社会保障と税の一体改革」に対して、当時与党だった民主党内から反発する声が噴き出した。国会での採決では多数の造反者が出たうえ、小沢一郎氏のグループ約50人が党を離脱し、「国民の生活が第一」という新党を立ち上げた。その年の12月にあった総選挙で民主党は惨敗し、政権を失った。野田氏は、再び党を分裂させることを避けたといえる。

 朝日新聞社が4月19、20日に行った直近の世論調査では、消費税率を「引き下げるほうがよい」が59%と6割近くを占め、「維持するほうがよい」の36%に大差をつけていた。また、政党支持率では、自民党23%、国民民主党12%に対して、「消費増税」のイメージがついた立憲民主党は7%。野田氏は一時的にでも消費減税路線をとらざるを得なかったのだろう。

玉木氏は「103万円の壁」の減税効果をアピール

 この立憲民主の方針転換に反応したのは国民民主党の玉木雄一郎代表。自身のXで、

〈立憲民主党が発表した「食料品だけ軽減税率をゼロにする」のは一つの考えだと思いますが、これを1年間だけ行う効果は、実はそれほど大きくないと思われます〉

〈減税額だけで比較するなら、所得税の控除額「103万円の壁」を178万円に引き上げた方が圧倒的に減税効果は大きいと言えます〉

 と自党の「減税」政策をアピールした。

 国民民主党の衆院議員B氏はこう話す。

「参院選が近づくにつれ、各党の『減税公約』が発表され、うちの『103万円の壁』がかすんでしまうので、玉木氏もすぐにでも野田氏に反論したかったのでしょう。それに、うちも新しいスキャンダルが出て、今は好調な支持率も微妙になっている」

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