
種と命をめぐる旅
『イェレナと学ぶセルビア料理』はその名の通り料理本。チェヴァビやムサカなどのレシピが並ぶ。著者のイェレナ・イェレミッチさんは09年から8年間東京に駐在していて、自宅でセルビアやギリシャ料理の教室を開いていた。佐藤さんはプニェネ・パプリケ(パプリカの肉詰め)を作ってみたとか。
『シュナの旅』はさらに一転、宮崎駿のファンタジーマンガだ。作物の育たない貧しい国の王子シュナが「金色の種」を求め、西へと旅に出る。
「30分ほどで読めるとても短いお話なんですが、ぐっと異世界に引き込まれる心地よさがあって、とても魅力的です。テーマになっているのは、品種改良によって芽が出なくなった種という、現実でも問題視されつつある話。『もしかしたら、こんな世界が本当に来るかもしれない』と思わされるんですよね。40年も前に、宮崎さんがそこまで考えていたのかはわかりませんが、環境や人間の生き方についても深く考えさせられる作品です」
(ライター・濱野奈美子)
■KAIDOさんが選ぶ5冊
『考える脚』荻田泰永(KADOKAWA)
『エンデュアランス─史上最強のリーダーシャクルトンとその仲間はいかにして生還したか』アルフレッド・ランシング(パンローリング)
『トランペットを吹き鳴らせ! セルビア&マケドニア ジプシー音楽修行記』吉開裕子(共栄書房)
『イェレナと学ぶセルビア料理』イェレナ・イェレミッチ(ぶなのもり)
『シュナの旅』宮崎駿(徳間書店)
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※AERA 2025年5月5日-5月12日合併号より抜粋