宿願は果たされたのか

 泉田知事は2016年8月、4選を目指す立候補を撤回し、退任。泉田路線を引き継ぐとして初当選した米山隆一知事も女性問題の発覚によって、わずか1年半で辞職した。

 2018年6月に自民、公明両党の支持を受けて初当選したのが、元運輸・国土交通官僚で副知事の経験もある花角英世氏だった。
 

 そして新潟県は2021年9月、「豪雪地域で緊急時配布が難しい」として、UPZ内での安定ヨウ素剤の事前配布を2022年度から開始する方針を明らかにした。これは半島や離島などUPZでも地理的に緊急時配布が難しい地域に事前配布を認める指針の例外規定を拡大解釈した措置だった。

 これで泉田知事時代からの宿願が果たされた、わけではなかった。泉田知事からの「指針見直し」を求める旗を、県自らが降ろしたことになるからだった。

(後編「公表資料を「のり弁」にした新潟県 柏崎刈羽原発の再稼働に動く東電への『依存』強まる 密室の議事録から消えた『厳しい姿勢』」に続きます)

(日野行介)

[AERA最新号はこちら]