投手では現役ドラフトで初めて2巡目での指名となった鈴木健矢(日本ハム→広島)も面白い存在だ。ここまで5試合に登板して防御率は6.00ながら、これも4月20日の阪神戦での3失点が響いているものであり、それまでは安定した投球を続けていた。なかなかいないアンダースローで特に右打者に対しては圧倒的な強さを誇っている。日本ハム時代は先発として長いイニングを投げた経験もあるだけに、今後もあらゆる場面で起用される可能性が高いだろう。

 ここまでは3人の名前をあげたが、苦しい状況となっている選手も存在している。まず心配なのが2015年ドラフト1位でプロ入りした平沢大河(ロッテ西武)だ。得点力不足に苦しんでいる西武への移籍ということもあって期待は大きかったものの、ここまで一軍出場はなし。さらに二軍でも6試合の出場で13打数1安打、打率.077と低迷しているのだ。ロッテ時代から調子の波が大きかったため、まだまだここから復調してくる可能性もあるが、この状態が続くようであれば一軍昇格は難しそうだ。

 投手では上茶谷大河(DeNA→ソフトバンク)も厳しい状況となっている。こちらもドラフト1位でのプロ入りながらなかなか結果を残せず、オフにはメキシコのウインターリーグに参加。環境が変わったことでの期待も高かったが、右肘の故障で手術を受けて長期離脱となっている。まずは万全の状態に戻すことが先決だが、12球団で最も競争の激しいソフトバンクだけに、今年中の結果が求められることになるだろう。

 過去2年間に比べると目立つ選手はやや少ないが、シーズンはまだまだ始まったばかりであり、ここから必要とされるシーンが出てくる選手もいるはずだ。何とか移籍をきっかけに浮上してくる選手が他にも出てくることを期待したい。

(文・西尾典文)

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