
いまだ購入した映像作品も見られない…
これまでずっと中山さんを追いかけて、全国のコンサートを回ってきた気持ちをこう振り返る。
「美穂ちゃんはその地方の方言を使って、ファンと掛け合いをしてくれたり、すごく親しみやすいんです。昔のコンサートでは口下手だったんですが、3年前に復活してからはよくしゃべるようになりました。ステージ上では、たとえばヒット曲の『WAKU WAKU させて』を歌うとき、みんなで振り付けの練習をして、楽しませながら、最後にはいつも感謝の言葉を語っていました……やっぱりさびしいですね」(同)
姉妹で“ガチファン”だという2人組もいた。千葉県からやって来たという50代前半の姉妹は、喪服姿で参列していた。姉は2人分の香典を会場入り口でスタッフに渡していた。今の心境をこう語る。
「美穂ちゃんとのお別れ会、最初はすごく楽しみにしていたんですけど、いざ近づいてくると、本当にお別れなんだなっていう気持ちが募ってきて、どんどん悲しい気持ちになってきました。今日は気持ちに節目をつけなきゃいけないのかなと思っています。いまだに購入した美穂ちゃんのブルーレイも見られないし、つらくて曲も聴けなくて……」(姉)
姉妹ともにファン歴40年。姉は中山さんのアルバムやシングル曲、写真集もデビュー当時からのものを全てコレクションとして持っているという。最後のコンサート(昨年12月1日)にも姉妹で行っていた。
「最前列で見ました。美穂ちゃんが歌っている姿が今でも目に焼きついています。そのときは、とても明るくて前向きで、美穂ちゃんが『これからおばあちゃんになっても皆ついてきてくれる?』って聞いて、みんなが『ついて行くよ』って答えました。美穂ちゃんは『じゃあ、これからも頑張って歌うからみんな応援してね』と言って、最後に『また会おうね』と……。美穂ちゃんの雰囲気と目と歌声、やさしい人柄が今でも心に残っています」(同)
筆者は姉妹に話を聞きながら、お別れの会の会場をまわった。祭壇の近くでは、白いカーネーションの生花を一輪もらって献花した。その近くには中山さんの妹である忍さんが立っていて、一人一人の参列者にあいさつをしていた。