AERAが保護者向けに実施したアンケートから

実質的に学校の部活の延長でも

 闇部活とは、「指導者や構成メンバーが部活と同じなのに保護者会が主催する活動」のことだ。

『ブラック部活動』(東洋館出版社)の著書がある名古屋大学大学院の内田良教授は、こう語る。

「学校における部活動は、そもそも『教育課程外』の活動です。『闇部活』の場合、実質的に学校の部活動の延長であっても、完全に学校の外に出てしまう」

事故が発生した際の責任は?

 闇部活について、さまざまな危険性が指摘されてきた。

 2018年に国が定めた部活動のガイドラインに沿った練習日数や時間が無視される。体罰や暴言があってもブレーキをかける仕組みがない。事故を防止する安全管理が行き届かない。活動の主体が不明瞭なため、事故が発生した際、責任の所在や補償などの問題も懸念される――。

 学校の部活動中に発生する病気やけがは決して少なくない。23年度、学校等の管理下における障害見舞金は308人に支払われた。そのうち118人(38%)は部活動中に発生したものだった。

 こうした理由から、闇部活を明確に禁止している自治体もある。

「夏合宿」廃止で呼び出し、つるし上げ

 もし合宿中にけがをしたら、道中に交通事故が発生したら、どうするのか。ユカリさんは学校に問い合わせた。

 剣道部の「夏合宿」は学校で問題になり、廃止されることが決まった。

 ユカリさんは保護者会に呼び出された。20人ほどの保護者が集まり、1時間ほど夏合宿廃止の経緯が説明された。終盤、「伝統ある夏合宿をなくしたことについて、謝ってください」と迫られた。

「いわゆる『つるし上げ』だったと思います。心細くはありましたが、謝罪せず、問題だと思うことを伝えました」(ユカリさん)

 娘は部活を続けたが、ユカリさんは他の保護者と会っても、あいさつされなくなった。「村八分」のような状態だったという。

「勝利至上主義」の暴走か

 その後、剣道部は「夏合宿」こそなくなったが、「闇部活」はなくならなかった。部活動の時間が短くなる冬場は保護者が公民館のホールを借りて練習していたことを娘から聞いた。

 ユカリさんは、闇部活が公然と横行する背景に、大会で「勝つ」ことを優先する「勝利至上主義」を感じるという。

「強豪であることは保護者にとっても誉(ほまれ)。熱烈に部活動を支持する保護者と顧問の先生が暴走し、その状態が続くのでしょう」(同)

 編集部が行ったアンケートでは、こんなコメントもあった。

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