
芸能人が「介護」に向いている理由
新旧アイドル界にも、介護の世界に進んだ芸能人は数多く存在する。「Wink」の鈴木早智子は介護施設でのボランティアを続け、北原佐和子は介護福祉士として実際に施設で働いている。
「元セイントフォーの岩間沙織は訪問介護士であるほか、介護タクシーのドライバーの資格なども取得したと女性週刊誌で話しています。元モーニング娘。の鈴木香音は16年に芸能界を引退していますが、『介護福祉士になりたい』というのがその理由でした。グラビアアイドルの村上友梨も介護の仕事に従事しているようで、それぞれが自分のペースで福祉の世界に根を下ろしています」(アイドル誌編集者)
以前はスキャンダルを起こした芸能人の“みそぎ”の場ように捉えられていたこともあったが、今では芸能人がきちんと現場に入り、資格を取得しながら本気で取り組んでいる姿が多く見られるようになった。
こうした動きの背景には、介護職の担い手不足という切実な社会問題がある。00年に介護保険制度が創設されてから25年が経過したが、業界は依然として厳しい環境に置かれている。そんな中、芸能界という華やかな舞台で活躍していた人が、今度は誰かの生活を支える側として奮闘している姿は、職業としての介護の価値を再認識させるものとなっている。また、芸能と介護の間には“意外な共通点”もある。
「芸能の世界では、人を楽しませたり、感情に寄り添うことが求められたりします。これは介護の現場でも同様で、高齢者一人一人の気持ちに寄り添い、安心感を与え、笑顔を引き出すことが何よりも重要とされます。また、表現力やコミュニケーション能力、相手を観察する力など、芸能活動で培ったスキルがそのまま介護の現場で生かされる場面も多い。だからこそ、芸能人が介護の世界に自然と適応しているケースが少なくないのだと思います」(芸能関係者)
キャリアを生かして、福祉という新たな舞台でもチャレンジ精神を発揮している元芸能人たち。この動きは次の世代の芸能人にもつながっていくかもしれない。
(泉康一)