工藤は2024年育成ドラフト1位で独立リーグ・徳島から入団。最速159キロの球威は素晴らしいものがあったが、早期での支配下登録と開幕一軍には驚かされた。伊原は中継ぎ登板が続いていた中、4月20日の広島戦(甲子園)で先発起用され、5回を4安打無失点に抑えプロ初勝利を飾った。
「中心選手を休ませる勇気もある。『3連投させない』と決めた抑えの岩崎優を、本当にベンチから外したのには感心した。体調が優れない中軸・佐藤輝明を欠場させたこともあった。開幕直後からシーズンを見据えた中長期的スパンで考えているからだ」(阪神OB)
「現役時代は毎日ブルペンに入り、連投も辞さずで投げ続けてきた。疲労蓄積による悪影響を身をもって知っているのが大きい。また投手側からの視点で、コンディション不良等が原因でスイングが崩れている打者も数多く見てきたのだろう」(阪神関係者)
「火の玉ストレート」を武器に気迫を前面に押し出した投球が持ち味だったが、「根性論」とは真逆の考え方のようだ。「トレーナーや裏方さんと常に話し合い、選手のコンディションを詳細に把握している」(阪神関係者)という。
「開幕からここまではある程度、順調。しかし各球団との対戦もホーム&ロードがひと回りして対策も取られ始める。セ・リーグ各球団が苦戦する交流戦も控える。チームの調子が落ち始めた時も自らの野球を貫けるか、に注目したい」(元スポーツ紙阪神担当記者)
「阪神のレジェンドが監督になったから、今は周囲もご祝儀的に温かく見てくれている。多少の負けが混んできた時、マスコミやファンは必ず騒ぎ始める。これは阪神球団の宿命で足を引っ張られてきた監督も数多い。球児には負けないようにして欲しいが……」(阪神OB)
結果が出ない時期には「監督批判」が必ず起きる。特に阪神は激しいものがあり、今後はそういったものとの戦いも出てくる。藤川監督にとって全てが初体験となるだろうが、押しつぶされず乗り越えていった先には結果もついてくるはず。就任1年目から「背番号22」が宙を舞う可能性は十二分にある。ここから先、シーズンが進むにつれてどのような監督像を見せくれるのかも楽しみだ。