「男気」を見せた阪神・藤川監督(写真提供・日刊スポーツ)
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 阪神・藤川球児監督は黄金時代を築くかもしれない。チームは開幕から落ち着かない状態が続いていたが、少しずつ勝ちパターンができつつある。理論派として高評価されての監督就任だったが、期待以上に早い段階から結果を出しそうな気配を感じる。

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 監督としてチームを守る姿勢を見せた。「ふざけんな」と言う指揮官の怒声が甲子園に響いたのは4月20日の広島戦。8回裏、坂本誠志郎が広島の投手・岡本駿から頭部死球を受けた後に相手ベンチへ向かって激怒。両チーム選手が集結、乱闘に発展しそうな空気が漂った。

「ゲームの中で起こることだけど、投げちゃダメですよ、というところをお伝えしただけです」と試合後の藤川監督は冷静に説明。しかし、「相手に一歩も引かない、あれこそ本来の姿ですよ」と語る人も多い。

「負けず嫌いの塊のような男だが、当初はグラウンド上では冷静を装うようにしていた。清原和博氏から叱咤激動を受けたことで、時には感情を表に出し勝負するスタイルになった。どんどん向かっていくのが藤川監督のスタイル」(元スポーツ紙阪神担当記者)

 2005年4月21日の巨人戦(東京ドーム)、阪神8点リードの7回裏二死満塁でフォークを連投して清原氏を三振に打ち取った。その後、「〇〇ついとんのか」と批判された藤川監督は、気迫を隠すことなく出すようになったとも言われる。

「(広島戦は)球児の男気を改めて感じた瞬間だった。解説者時代しか知らない人たちからすると、感情を露わにした姿を初めて見たのではないか。普段とのギャップと同時に、何かあった際には真っ先に出て行ってくれることを認識したはず」(阪神関係者)

 戦う姿勢だけでなく、「勝利」のために過去の実績にとらわれない「非情さ」もある。「力のないベテランはいらない」(藤川監督)と就任会見で語った通りの選手起用も随所で見せる。

「開幕直前に支配下登録した工藤泰成の起用方法には驚かされた。キャンプから良い球を投げていたが開幕一軍入りを含め、大事な場面でどんどん使う。ドラフト1左腕・伊原陵人を先発起用したタイミングも絶妙。球児の投手を見る目は優れている」(阪神OB)

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