2023年11月に米寿となる88歳の誕生日を迎えた常陸宮さま。愛犬の「福姫(ふくひめ)」をひざにのせ、この年の7月に妻の華子さまとともに撮影に応じた。華子さまの訪問着は、夏らしく海の世界を描かれており、合わせる帯にはなんと大きなヒトデが!=2023年7月21日午後、東京都渋谷区の常陸宮邸の応接室、宮内庁提供
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 4月22日、春の園遊会が開催される。女性皇族は、春と秋で和装と洋装を交互に着こなして招待客をもてなすが、なかでも常陸宮華子さまの和装を楽しみにしている人は少なくない。旧陸奥弘前藩主の津軽家の出身の華子さまは、若いころからごく自然に和装をお召しだ。実は、華子さまの和装には、遊び心がたっぷり詰まっており、ご夫妻が長年慈しんでこられた「あるモチーフ」も多く見つけることができる。

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 生き物へ深い関心をお持ちの常陸宮ご夫妻の写真や映像には、愛らしい生き物が一緒に登場することが多い。たとえば、常陸宮さまの米寿の誕生日を迎えた2023年11月に公開された写真には、ミニチュアダックスフントの「福姫(ふくひめ)」こと「福ちゃん」が常陸宮さまの膝の上にちょこんと座り、一緒に写真におさまっている

 撮影されたのは7月。このときの華子さまの訪問着には、夏の季節らしい遊び心があふれている。海底の世界を描いた図柄で、色彩豊かな二枚貝や巻貝、そして朱色の珊瑚が海をイメージした雲取り文様にちりばめられている。

 「粋な着こなし」と評判だったのは、「海」の訪問着に合わせた帯。「つづれ織り」の帯だが、なんと大きなヒトデの図柄が織り込まれている。

 また常陸宮さまは、日本鳥類保護連盟の総裁を務め、おふたりは鳥をはじめとする野生動物の保護に長年取り組んでいることもよく知られている。そんなおふたりは、お住まいの常陸宮邸の庭で野鳥の観察を楽しまれることもあるという。

「第33回高松宮殿下記念世界文化賞」の授賞式典に出席するため、会場に到着した常陸宮妃の華子さま。胸元にはぷっくり愛らしい「エナガ」、全体に十数羽の小鳥が配された、華子さまらしい訪問着=2022年10月19日午後4時9分、東京・元赤坂の明治記念館

 実は、華子さまの着物にはお好きな鳥をモチーフにされたものが少なくない。

 華子さまの着物をこれまで多く仕立ててきたのは、東京・世田谷区にある老舗呉服店、京和工藝だ。代表を務める国見修二さんも印象深いのは、常陸宮ご夫妻のダイヤモンド婚で公開された写真や23年春の園遊会で華子さまがお召しの水色と灰色が混じった「白藍」の訪問着だという。

 というのも、胸元には愛らしい「エナガ」が左胸に配され、さまざまな種類の小鳥が十数羽描かれたなんとも華子さまらしい、お着物だからだ。

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