購入したのは半導体大手のエヌビディアに、ソフトウェア企業のパランティア・テクノロジーズ、フィンテック銘柄のロケット・カンパニーズ、そして日本の商社の丸紅だという。

「エヌビディアは中国向けに設計したAI半導体がアメリカの輸出規制の対象になったこともあって大きく売られましたが、誰もが認める超高成長企業。100ドルを割ったら絶対買いだと思って指し値を入れておきました。パランティアもAIを活用した防衛テクノロジー企業で、昨年、株価が大きく上昇した超高成長銘柄。暴落局面では間違いなく買いだと思ってました。一方で、ロケット・カンパニーズはネット経由で住宅ローンを提供する企業なので、トランプさんが利下げを訴え続ければ、利用者が増えるだろうと思って買いを入れました。丸紅は、完全に“投資の神様”に便乗しただけ。ウォーレン・バフェットが買い増している商社株のなかで、最も業績がいい丸紅を安値で仕込ませてもらいました」

 そう話すJINさんだが、実はFXでは大きく負け越している。今抱えているFXの含み損は1億円を超えるという。

低調な相場が夏まで続く

「1ドル=126円台からドル/円の売りポジションを2年以上握りしめていて、これだけで3千万円以上の含み損を抱えてます(16日時点で1ドル=141円台)。そのほかにもユーロ/円や英ポンド/円の売りも含み損だらけ。FXの含み損がなければ、もっとエヌビディアなどを買い増せたのに……と悔やまれます」

 暴落相場にはしばしば“二番底”が訪れる点には注意が必要だ。ベテラン証券関係者が話す。

「関税ショックはいったん織り込んだように見えますが、世界の金融市場への関税の影響はどのように出てくるかまだ見えていません。日本株に関して言うと、注目は5月中旬から本格化する企業の決算発表です。ここで、厳しい今期26年3月期の業績見通しが相次ぐと、日経平均は二番底を形成しにいくことも考えられる。一方で、関税の影響を測りかねて業績予想を公表しない企業が出てくる可能性もある。そうなると、買い材料が不足して低調な相場が夏まで続くことが予想されます。個人投資家は、下げた局面で好業績が期待できる銘柄を拾う守りの姿勢を取るほうがいいでしょう」

 二番底も想定して、トランプ相場に臨むほうがよさそうだ。投資はくれぐれも自己責任で。

(ジャーナリスト・田茂井治)

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