県は「悪質なため刑事告発もありえる」

 県は、いまむら病院の不正事実として、「虚偽の納品書の提出」「虚偽の請求書の提出」「虚偽の領収書の提出」「改ざんされた通帳の写しの提出」という4つを挙げている。

 県感染症対策課によると、いまむら病院の悪質性は際立っていたという。

「いまむら病院の領収書を業者側や病院の帳簿などと照らし合わせると、実際に支払われた様子はなく、虚偽と判明した例もあった。それが積み重なっていて、常習性、組織性などの面から悪質だ、刑事告発もありうるという結論になった」

病棟に入りきらないほどの大量発注

 Aさんの証言に戻る。

「県が補助金返還を求めたと聞いて、やっぱりなと思いました。これは警察沙汰になるとも感じました。例えば、令和3(2021)年3月末までに病院に納品された物品が補助金の対象でしたが、当時はコロナの真っただ中で、物品も不足しがち。納品されなかったのに補助金申請していたものもあったんです」

 補助金目当てに、不必要な物品の購入もあったという。

「いまむら病院では東病棟がコロナ専用の受け入れ施設になっているのですが、納品された物品があふれかえっていました。使用していない物品には補助金は認められない。実際に使用していた医療機器もあったが、未使用のまま放置しているものもあった。愛知県にカタログと見積もりを出して、買っていいかと確認をとると、『買うのはいいが、こんなにたくさん必要なのか』『補助金の関係で後日、会計検査院の調査が入り、返金という事態もある』と事前に指摘も受けていた。それでも大量に発注するので、ついには病棟に入りきれず、業者の倉庫に物品を預かってもらい、納品されたことにして伝票処理しているケースがあるとも聞きました。

 コロナが拡大していくので、陰圧室を増やして実際に受け入れ態勢を強化していたんですが、暑くなるとエアコンが必要だ、それには自家発電機も必要となり、さらに物品が増えていった。また同じ物品を2つ、3つ発注することもあって、私が心配だと今村氏に伝えると、『オレが買う、いいといっているんだ』と逆上していました」

 県によると、いまむら病院はすでに、交付された補助金額の約17億6500万円と、10.95%の加算金にあたる約5億円を期限内に返還したという。

「返還されたから刑事告発をしないという訳ではなく、さらに捜査機関と相談中です」(県感染症対策課)

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