富永啓生(左)と河村勇輝、NBAコートに立つために必要な課題とは
この記事の写真をすべて見る

 NBA本契約を目指す河村勇輝と富永啓生のルーキーシーズンが終わりを告げようとしている。

【写真】引退後も存在感抜群のレジェンドといえば

 メンフィス・グリズリーズと2ウェイ契約を結ぶ河村は、下部組織メンフィス・ハッスルでのプレーが続いていたが、チームはレギュラーシーズン最終戦を終了。その最終戦で河村は、36分31秒のプレーで21得点、8アシスト、2スティールをマークし、今後はグリズリーズに同行することになった。

 ここまでの河村は、ハッスルでのプレーが中心となっている。24試合に出場して平均31分間プレー。アベレージは12.4得点、7.7アシスト、1.1スティールで、フィールドゴール成功率は40.0%、3ポイントシュート成功率は41.0%。司令塔としてまずまずの成績を残したと言えるだろう。スピード感あるドリブルや、ノールックパスや想像を超える非凡なパスセンスは、度々、SNSなどでも取り上げられ話題に。目の肥えた本場のバスケファンにも印象に残るプレーを随所に見せていた。

 しかしそんな河村は、グリズリーズではここまで20試合に出場しているが、プレータイムは平均3.2分で、1.2得点、0.7アシストというアベレージ。アリーナにいるファンは河村がプレーする場面になると盛り上がりを見せていたが、出場機会は基本的に勝負の行方が決まったゲーム終盤のいわゆる“ガベージタイム”で、1年目は世界最高峰リーグの高い壁にぶち当たったというところだろう。

 現実的に、今のグリズリーズでロスターに定着するのは難しい。バックコートはジャ・モラント、デズモンド・ベイン、スコッティ・ピッペンJrなどが揃っている。グリズリーズは、現地時間3月28日にテイラー・ジェンキンスHCを解任したばかりだが、それまでのトランジションやロングシュートを重視するスタイルは、河村のスピードとパスセンスにもマッチしていたものの、それでもなかなかプレーする機会に恵まれなかった。

 ただ、シーズンを通じてNBAとGリーグを行き来する中で、通用する部分と課題は見えてきている。

次のページ 守備力は米国のプロレベルには到達していない