
“届かなかった”からこそ得られる幸せも
今年3月に出版された早見和真さんの新刊『問題。 以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい』(朝日新聞出版)にはこんな一節がある。
「将来、自伝を書いたとしたら、そこで綴られる中学受験は1行か2行くらいのもの」
これは、意識的に親に向け書いた言葉なのだという。「第1志望に受かることにとらわれるのではなく、どうすれば子どもが幸せになれるかということにとらわれるべきだ」と早見さん。
「第1志望に受かることが幸せに直結している、という感覚は僕にはなく、第1志望に手が届かなかったからこそ得られる幸せも同じくらいの確率であると思っています。子どもの将来の幸せに通じているのは、第1志望に受かることよりも、親が凛としている姿を見せることなのではないか、とさえ思っています」
中学受験の「光」はその結果ではなく、未来の幸せに当てられるからこそ、輝くのだろう。
(古谷ゆう子、AERA編集部・作田裕史)