
3日連続で第1志望不合格も「前を向き続けた」
今は私立男子校に通う高校1年の息子は、前受け校である埼玉の私立中学を1点足りず不合格となった。母親は「ここが取れなかったら、もうどこにも受からないのではないか」と落ち込んだが、そんな不安にさいなまれる女性を横目に、息子はその原因を冷静に分析し始めた。
「苦手な社会が足を引っ張った。2月の本番までの2週間で社会を徹底的に勉強する」
そう決意を語ると、一気にスイッチが入った。
「私は正直、『え、今から?』とは思いましたが、同時に『こんなにも内省し、実行に移せる子だったんだ』と驚いたことを覚えています」
本格的な入試シーズンに入ってからも、息子のメンタルの強さに驚かされた。息子の第1志望校は、複数回受験することができる学校。初日に合格を手にすることはできなかったが、そこで弱気になることはなく、翌日、その翌日と不合格が続いても、気丈に前を向き、試験を受け続けた。
「親よりもよっぽどしなやかに気持ちの整理をしていました。親のほうが心配になり、夫も仕事を休み送迎を行っていたのですが、そんな夫に息子は、『仕事を休んでまで来てくれてありがとう』と声を掛けていたようです」
最終的に第1志望校へは手が届かなかった。だが、泣き言を言ったり、いつまでも悔しい気持ちを引きずり続けたりすることはなかったという。
「本人のなかに『やりきった』という感覚が確かにあったのだと思います」
息子はいま、第2志望だった学校に毎日楽しく通っている。親子ともに納得して選んだ学校だ。部活だけでなく同好会や文化祭実行委員会にも所属し、オプションである研修旅行にも積極的に参加する。
「毎日楽しく過ごしている姿を見ているからかもしれませんが、息子の成績を巡り感情がジェットコースターのように揺れ動いていた時期のことも意外と忘れてしまうものです(笑)。人生が進むにつれ、新たな課題に突き当たる。中学受験は、あくまで『通過点』でしかないのだな、と思います」