高岡浩三氏

どうすればスポンサー企業を説得できる?

 フジのガバナンスを立て直す上で、上場企業である親会社のFMHの責任は当然ながら重いし、その株主にも意識改革が必要です。日枝氏による独裁体制に批判が集まりましたが、親会社のFMHは上場企業。株主たちが問題視していれば、日枝氏を解任することができたはずです。

 FMHの大株主は、“仲よしこよし”の関係にある信託銀行、仕事上の付き合いがある東宝、同じフジサンケイグループの文化放送などです。最近でこそ、アクティビスト・ファンドであるダルトン・インベストメンツが経営戦略への働きかけを強めていますが、日本企業は長らく“物言わぬ株主”の立場を貫いてきたわけです。

 私がもしFMHの経営陣にいれば、6月に開かれる株主総会でこう訴えますね。

「株主としての責任を果たしてください。もっと厳しい評価をしてください。我々にはそれを受け入れる覚悟があります」

 手を引いたスポンサー企業も、株主総会の行方を注視していると思います。FMHは役員人事を既に発表していますが、株主総会を経て、最終的に取締役はどんな顔ぶれになるのか。彼らは自らの役割と責任についてどう捉えているのか。

「取締役会として経営陣をしっかり監督し、職責をまっとうしていないメンバーがいれば社長であろうと速やかにクビにします」

 これくらいの決意を明言できなければ、スポンサー企業を説得することは、できないと思います。

(構成/AERA編集部・大谷百合絵)

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