
さらに、資産運用には原資が必要だ。年収500万~600万円で、子どもがいる家庭では、投資に回すお金まで捻出するのは厳しい。資産運用に回せるということは、親からの贈与や相続もそれなりにある人が多いのではないかと見る。
そんな、いつの間にか富裕層の生活スタイルについて崔さんは「消費性向は低い」と指摘する。
「今の40代後半から50代は、バブル崩壊やリーマン・ショック、デフレと賃金が下がる世界をずっと見てきているからか、様々な研究を見ても暮らしは堅実なことを示唆しています。旅行では高級旅館に泊まったりプチ贅沢はしていても、高級外車を乗り回すわけではありません。ユニクロなどファストファッションを着て、地味な暮らしをしています」
しかも、総資産が1億円以上あったとしても、老後の生活は安泰ではない。株価は上がることもあれば下がることもある。「株価が上がったから、ラッキー! 使おうぜ」というマインドにはならないだろう、と見る。
今後、いつの間にか富裕層が増えていくかどうかは、アメリカ株だけでなく、日本株、そして日経平均が上がっていくか次第。ただ、彼らの金融リテラシーは高くないと見られる。NRIはこう指摘する。
「資産運用を金融機関の担当者や親族・知人の勧めに任せ、自らは関与・関知していない人も一定数存在します。そのため、従来の富裕層と比べて金融知識が十分ではなく、商品特性やリスクの理解が不十分なままに金融商品を購入する可能性があります」
投資する際に何に気をつければいいのか。崔さんは、「ファイナンス理論的には資産分散が重要」とアドバイスする。
「突発的な異変に対して目減りしにくいよう、例えば、株だけを保有するのではなく、債券や外貨商品などにも投資することが大切です」
ただ、一つの金融商品ありきでの長期投資には注意を促す。長期投資とは、毎月定額でコツコツと時間分散をしながら投資をしていくやり方。「買うタイミングをずらせば必ずいつか花開く」などといわれているが、時間が経つと概ね平均値に戻る「平均回帰性」が前提となっている。しかし、すべての資産に平均回帰性があるとは証明されていないと警鐘を鳴らす。