今、東南アジアでタロット熱が高まっている

本記事の第1回にも登場した「東京・タロット美術館」にも、東南アジアからの来館者が増えているとのこと。館長・佐藤元泰さんは言う。

「アジア圏でのタロットの広がりはすごいですね。例えば現在のタイは体感として日本の3倍くらいのマーケット規模を感じさせるくらいの勢いがあります。次いではフィリピン、台湾、ベトナム……。来館してご自身が描いたタロットの作品を美術館に寄贈してくださる方も多いです」

こちらはベトナムの食文化をタロットになぞらえたカード。©Hannie Pham

 また昨年、タイのバンコクで開催された「GYPSY FAIR2024」は、個人や小さな出版社が自作のカードを販売するブース、占い鑑定を行うブースなどがひしめき合うタロティストのためのお祭りイベント。昨年で6回目を迎え、3日間で3万人近い来場者があった。

 2024年5月に開催された「GYPSY FAIR」の模様。2025年は5月20日~25日にベトナムで行われる。撮影/佐藤元泰

 また2023年にベトナム・ハノイで開催された「Cartomancy Exhibition Challenge(カルトマンシー・エキシビション・チャレンジ)」では、佐藤さんも審査員を務めたという。

「これは東南アジアにおける占いカードを制作するアーティストのためのコンテストです。予選で選ばれた10人がどういう思いでそのカードを作ったのかを、1年くらいかけてプレゼンするというもので、2025年2月にも〈CEC2025〉が行われていました。タロットには、若者のクリエイティビティを刺激する、創造性の源泉としての側面もあるのだと思います」

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