カブス戦で好投する門別(日刊スポーツ)

「今すぐカブスに連れて帰ろう」

 メジャー各球団の目に留まった選手は上記の3人だけではない。メジャーリーガーの代理人を務める関係者が明かす。

「一気に評価を上げたのが門別啓人(阪神)ですね。まだ1軍で未勝利ですが、カブス戦に先発起用されて5回パーフェクトと完璧な投球を見せました。登板後にメジャーの複数球団の編成担当やスカウトから『門別はどんな投手なんだ?』と問い合わせが来ました。阪神の将来のエース候補ですし、将来的にはメジャーで活躍できる素材です」

 門別は高卒2年目の昨年も岡田彰布前監督に期待の若手として名前を挙げられていたが、5試合登板で0勝2敗、防御率4.50と結果を出せなかった。無名の存在だっただけに、快投の衝撃は大きかった。米国のSNSで話題になり、「今すぐカブスに連れて帰ろう」「まだ20歳というのが衝撃。今永2世だ」と絶賛するコメントが多数書き込まれている。今年は先発ローテーション入りを狙い、ここまで実戦で無失点の好投を続けている。

 プロの公式戦ではデビューすらしていない右腕にも、メジャーのスカウトから熱視線が注がれた。昨秋の育成ドラフト1位指名で入団し、3月に支配下に昇格したばかりのルーキー工藤泰成(阪神)だ。15日のカブス戦で7回に救援登板し、イアン・ハップ、カイル・タッカー、マット・ショウと強打者たちを空振り三振に仕留めた。

1軍の公式戦より前にメジャーと対戦した工藤(日刊スポーツ)

独立リーグ時代から「メジャー向き」と評価

「見ていてワクワクしますよね。直球が常時150キロ中盤を計測し、フォークとスライダーも空振りを奪える。このまま順調に育てば、守護神として活躍するイメージがわきます。侍ジャパンでも有力候補になるのでは。メジャーからの注目度がさらに上がるのは間違いない」(前出のメジャー東海岸の編成担当)

 工藤について、アマチュア球界を取材するライターがこう証言する。

「独立リーグ・徳島でプレーしていた昨年も『メジャー向きの投手なのでは』と評価されていました。制球力が課題でしたが、肉体強化で球が速くなりスケールの大きさを感じさせる投手でした。ドラフトの育成契約を断っていたら、米国の球団から声が掛かっていたかもしれません」

 プレシーズンゲームでメジャー球団を相手に、若手選手たちが力試しできたことは今後の成長の糧になるだろう。今シーズン、どんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。

(今川秀悟)

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