左からBFC実行委員長の北田博充さん、初代BFCチャンピオン久保田理恵さん、スペシャルプレゼンターの新日本プロレスの棚橋弘至さん (c)Book Fair Championship
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 日本で一番面白い書店フェア企画を競い合う「OVOL 日本紙パルプ商事 presents Book Fair Championship」。初代王座が決定し、チャンピオンベルトの贈呈式が行われた。AERA 2025年3月24日号より。

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 全国から154件の応募があった「Book Fair Championship(以下、BFC)」。初代王座は、MARUZEN&ジュンク堂書店 新静岡店の久保田理恵さんの「新社会人応援フェア Working girl Routine #本庄静子の一日」に決まり、3月3日、チャンピオンベルト贈呈式が行われた。

 架空の人物・新社会人の本庄静子を応援するというフェアで、「起床…白湯を飲んで1日がスタート!朝食やお弁当の準備をするよ」や「文庫は鞄に1冊忍ばせてる~!オススメされたものは必ずチェック」などというキャッチーなポップと共に、初めての一人暮らしや仕事の悩みを解決したり、美容や趣味に関するお助け本などを多数紹介。

架空の人物の悩みを

 本庄静子の人物設定も詳細にして、プロフィルを張り出したり、久保田さんの友人をモデルに街中で撮影した画像も使用。実在しているかのような雰囲気を作り込んだ。配布用のオリジナルペーパーはフェア終了後も活用できるようにと本の情報がびっしりと書き込まれている。

 久保田さんは、「本庄静子という架空の人物の悩みを本でカバーするという企画でした。その企画が面白いと評価していただけたことに、本当に喜びを感じています。この企画は、新静岡店の皆さんと一緒に考え、お店の力を結集して作り上げたもの。みんなの協力があってこそ、リアリティーのある企画に仕上がったと感じています」と受賞の喜びを語った。

 いずれも力作ぞろいだったベスト10の中から「~#本庄静子の一日」が受賞した理由について、審判員の小説家・滝口悠生さんは「本庄静子というペルソナに基づき、彼女の人生や生活に関わる本を選び並べるというコンセプトが秀逸で、多彩な本のラインアップが、1人の人間の多様性を反映しているだけでなく、書店に並ぶ本全体の多様性の縮図になっていました。さらに、このフェアを作った人々の楽しさが伝わり、それがSNSや書店の来店者にも広がる仕組みとなっていた点も素晴らしかった」と選評を述べた。

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