そのロッタンに勝ったスーパーレックを降し、王者としてロッタンを迎え撃つ――そんな青写真の描かれた武尊だが、パンチとローを主体にした激闘型のロッタンとは違い、蹴り技をメインに距離を取って戦うスーパーレックは戦型の違いもあり判定で敗戦を喫した。
太腿と腕の筋断裂と膝の骨折を負いながらも激闘した武尊だったが敗れて涙し、「いま僕ができる限界はここまでです。これ以上はもう、僕は身体を作れません。僕を信じてついてきてくれたみなさん、ありがとうございました」と引退を思わせる心境をマイクで語り、リングを後にした。
だが、負傷を癒した武尊は気持ちを立て直し再始動。24年9月27日、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで行われた「ONE Friday Fights」を復帰の舞台とした。
当初ブラック・パンサー(タイ)が予定された一戦だったが、負傷により対戦相手がミャンマーのタン・ジンに。直前でロッタンからスーパーレックに代わり敗北を喫したのを思わせる不吉な展開。だが、その試合で武尊は左フックで先制ダウンを奪われるも、三日月蹴りでダウンを奪い返し連打で逆転KOを決めた。
試合はロッタンもリングサイドで観戦。勝利後リングに上がったロッタンに武尊は対戦を呼び掛け、額をつけてのフェイスオフを展開した。マイクを向けられたロッタンは「今夜の試合は楽だったかもしれないけど、俺との試合はそうはいかないぞ」と目を離さず武尊にメッセージした。
1カ月半後の11月9日、立場を入れ替え武尊はロッタンの試合をルンピニースタジアムのリングサイドで観戦。勝利したロッタンに手招きされるとリングに入り、再び額をつけての視殺戦を展開した。
そして12月16日、ONEは25年3月23日にさいたまスーパーアリーナで開催する日本大会で、前回は中止となった武尊とロッタンの一戦を改めて行うことを発表した。
「試合が決まって嬉しさとワクワクが込み上げてくる感じ。何年もロッタン選手と戦うためにやってきたし、ONEに来たのもそれが1番の理由だった」