
スマホ限定メニューを
「注文を取る負担が減ることで余裕が生まれ、スタッフの定着率が上がった飲食店もあります。データの可視化で売れ筋が見え、食品ロスを防げるようになったケースもありました」
と品川さんは説明する。他にもブラウザの自動翻訳機能を使えば多言語にも対応できるため、インバウンド客ともスムーズにコミュニケーションを取ることもできる。人手不足や原材料も高騰している昨今、飲食店にとってメリットが大きいのだ。
スマホオーダーにどれだけモヤモヤしても、その広がりは止まりそうにない。ならば、と前向きになれそうなおもてなしを“モヤモヤ派”の人たちに聞いてみた。
「不快感の多くは客へのタダ乗り感情。だからわかりやすく得だと思えれば歓迎する人も多いのでは。料理の残り個数が表示されたり、スマホ限定メニューがあるとうれしいですよね」
そう話したのは都内で働く女性(31)。この女性以外からも、「スマホ割引」を求める声が多数届いたことを考えると、“お得感”はポイントかもしれない。他には「検索機能」「使い方を説明したPOPの設置」「くじ引き」「紙に載せきれない細かい説明がある」などのアイデアも集まった。
だが、先のアメリカ在住女性のように、スマホ自体を使いづらいケースもある。都内に住む女性(49)は、「水を出すときに『困ったときは聞いてくださいね』と一言あるだけでも、いいお店だと思える」と提案する。デジタル化が進むからこそ、人のありがたさが身にしみるのだ。(編集部・福井しほ)
※AERA 2025年3月24日号

