――冒頭に「疲れた」とありましたが、表情や言葉からは充実ぶりと仕上がりの手応えが感じられます。

 そうですね、本当に順調に追い込めてますし、日を重ねるにつれ自信も出てきています。ゲームプラン、試合がどう流れていくかも明確に分かってきて、今は充実して毎日を過ごせています。

――試合が楽しみな、前向きな心持ちでしょうか。

 本当にここ何年か感じたことのないワクワク感が今はあるので、この状態で試合ができるのが僕自身も楽しみです。本当に久しぶりな感覚です。

――こういった感覚はいつ以来ですか?

 いつかな……でもK-1ウェルター級トーナメントの時(21年9月、3試合をKOで勝ち抜き優勝)3週間前ぐらいに足を筋断裂して、どういう試合ができるか分からなかったんです。でも、その時はワクワクしました。

――筋断裂しているのに?

 怪我とかしてる時って逆にワクワクするというか。でも、その時もここまでのワクワク感はなかったので、今回は今までで一番ワクワクしてると思います。

――強い相手でこれだけ不利と言われているので、怖さや不安があるのかと思いましたが逆なのですね。

 はい、ないです。僕、普通じゃないので多分変わってると思います。

――さすがです。では、大勝負を前に改めてご覧になる方々へのメッセージをお願いします。

 本当に今回は僕自身が楽しみな試合で、全力でさらに進化した野杁正明をお見せしますので、そこを楽しみにしてもらえたらと思います。

(文/長谷川亮)

●プロフィール
長谷川亮/1977年、東京都出身。雑誌編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行う。そのほか各種コラムの執筆、ドキュメンタリー映画『 琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』( 2019)の監督など。

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