――ですが、チャンスをもらえるのは嬉しいと言われたように、そういった強い相手と戦えるのは格闘家として本望?

 はい。僕が求めていたことが全てできる団体で、それがやれていますし、今回も僕が望んでいた“絶対勝てない”って言われるような選手との対戦なので、本当に僕が格闘家人生でずっと求めていた舞台だし、そこに関しては本当に嬉しいです。なので今が一番充実していて、格闘技人生で一番いい時間を送れている感じはします。

――たしかにK-1時代はなかなか対戦が決まらなかったり、対戦相手に恵まれなかった印象があります。

 対戦相手の候補が何人か来た時でも、どこかしらで妥協しなきゃいけない相手だったりしたんです。「この選手でどうですか」と言われて、僕は断ることはなく用意された中から「分かりました」って言っていたんですけど、内心“この選手なんだ”っていうのはありましたし、その選手で受けないと試合ができないこともありました。でもONEから用意される選手はそういうことはないし、今回もタワンチャイ選手で、今ONEでムエタイのフェザー級チャンピオンですけど、キックでも“誰が勝てるんだ?”と思われていると思うので、そういう相手と試合ができるのは素直に嬉しいです。

――デビュー当初から活躍し“怪物”とも言われてきた野杁選手が、これだけ不利を囁かれる相手はこれまでなかったのではないですか?

 ここまで不利予想がある試合は多分初めてかと思います。でも、なんか気が楽です。失うものもないですし、“勝って当たり前”と言われるより“負けて当たり前”と言われる中で試合がしたかったので、何も考えずに戦うことができるし、ほんと純粋に楽しみです。

――そんな野杁選手ですが、ONEデビューの昨年6月、続く12月と敗れ、連敗で迎えた今年1月は初めて試合が怖かったと話していました。

 前回は本当にもう負けられないというか、負けたら終わりだと思って臨んだ試合でした。そういったことを含め、初めて試合が怖いなって思いました。リングに上がっちゃえばそういう恐怖は全くなかったんですけど、当日を迎えるまでの期間は結構不安というか怖さがありました。

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タワンチャイ選手の印象・勝算は?