
国会でも対策が議論されるほど社会問題化した“闇バイト”が世に知れ渡るきっかけとなったのが、2023年1月に東京都狛江市で起きた強盗致死事件だ。一審判決では、4人の実行役たちが通信アプリ「テレグラム」上で、「ミツハシ(元はルフィ)」「キム」といったアカウント名の男らから押し込み強盗をするよう指示され、家にいた当時90歳の女性をバールで殴って死亡させたとして、実行犯らには重い量刑が言い渡された。この事件で実行役のリーダーだった永田陸人被告(23)がAERA dot.の取材に応じ、「(事件を起こしたことを)死ぬほど後悔している」「闇バイトに手を出そうとしている人に読んでほしい」と、記者に手記を託した。





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「被害者遺族の気持ちを踏まえたうえで、極刑を下してください」
22年11月から翌年1月まで6つの広域強盗事件に関わり、強盗致死などの罪に問われた永田被告は、一審が開かれた東京地裁立川支部の法廷で涙ながらにこう訴えた。
20歳そこそこの青年がSNSを入り口に人をあやめ、自ら死を懇願するほどの後悔と絶望の中にいる。彼が重罪犯となるまでの心の内奥を探ることは、闇バイトに手を染める若者をこれ以上増やさないことの一助となるかもしれない……そんな思いで、記者は昨年12月から永田被告との面会や書簡のやりとりを重ねてきた。
永田被告は取材当初から、「闇バイトを減らすための発信がしたい」と話していた。そして今年2月、「自分のように誰かを傷つける人が一人でも減るように」という願いが込められた手記が、拘置所から届いた。
〈今回は犯行前の石川県に住んでいた21歳の当時の自分を振り返り、今、時を僅かですが重ねた23歳の自分が思う事について誠に勝手ながら記述させていただきます〉
こんな書き出しで始まる永田被告の手記を、一部抜粋して紹介する(本文〈〉の囲み、原文ママ)。