
競艇にのめり込んだ末、闇バイトへ
永田被告はなぜ、闇バイトに手を出し、人の命を奪うという越えてはならない一線を越えたのか。引き金を引いたのはギャンブルだった。
〈競艇は偶然、X(旧ツイッター)を拝見していた際に知り“楽して稼げる”と勘違いしてしまいました。そして負けが続き支出が増えると“ギャンブルで負けた金は、ギャンブルで取り返す”という正常とは言えない考えに基づき、給料を全額使用し、サラ金や闇金から借金を重ねていきました。そこで競艇の軍資金と借金返済のお金を得るために「闇バイト」とXで検索し、とうとう一連の強盗等の事件に加担しました〉
22年11月に闇バイトを探しはじめた永田被告は、フィリピンのビクタン収容所にいる指示役の男らとつながり、翌年1月に逮捕されるまでに6つの強盗事件のメンバーとなった。すべての事件において、実行役を束ねるリーダーを務めている。
被害者が死亡するにいたった“狛江事件”は5つ目にあたる。
一連の事件の裁判で永田被告が語ったところによると、被告は侵入した住宅にいた90歳の女性に対し、現金のありかを聞き出すために「家燃やすぞ」「娘や息子を殺すぞ」などと脅し、背中や臀部(でんぶ)を蹴り上げた。そしてほかの実行役に「俺がストップと言うまで続けろ」と、バールで殴るよう指示した。
このような残虐な行為を平然と行える永田被告に、記者はあえて「永田さんはサイコパスなのですか?」とたずねると、こう返ってきた。
「僕はサイコパスでも快楽犯でもありません。むしろ、大きな買い物袋を提げたおばあちゃんがいたら助けてあげるタイプでしたが、お金ほしさに目がくらんでしまった。女性と子どもと老人には手をあげないと決めていたのに……」