「何が問題視されているのか、どうするとハラスメントと思われるのか、わからないから怖いわけですよね。こういう本を読んで、どういう社会的なメカニズムが働いているのかを考えると少しずつ理解が進むと思っています」
清田さんは大学時代に友人たちと恋バナ収集ユニット「桃山商事」を立ち上げ、女性を中心に1200人以上の失恋話や恋愛相談に耳を傾けてきた。ライターの仕事をしていた30代前半に上野千鶴子、信田さよ子らの著作と出合い、フェミニズムに関心を持つ。自分の過去にも、現在の社会にも潜むジェンダーの問題に気づいた。CMで夫はなぜ居間に座っているだけなのか、番組の司会者はなぜ中年男性ばかりなのか……。
「あらゆるものが、どういうこと?と思えてくる感覚が芽生え、そこから全部の景色がジェンダー視点で見えてきた。ジェンダーのメガネをかけたみたいでした」
自分とは遠い世界と思っていた政治や経済もつながって見えてきた。ジェンダーのメガネで見れば見るほど社会に構築された壁は厚い。そこに「小石を投げるぐらいしかできないけど」と言う清田さんの気概に胸を打たれる一冊だ。(ライター・仲宇佐ゆり)
※AERA 2025年3月24日号

