
作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。
Q. 【vol.36】美人に対する周りの女性の敵意が恐ろしいワタシ(30代女性/ハンドルネーム「みー」)
最近話題になっているテーマに、美人は本当に得なのか、というものがあります。自分がそうなのかというのは置いておいて、個人的にはあまり得ではないのではないかと思います。
その場で一番スポットライトが当たる女性になることで生じる、あのピリピリした雰囲気。一人の女性の出現のために、周りの女性はまるで自分が透明人間になったように感じて、その人には誰が何をしてもいいのだと、共通認識を持つあの感じです。どう見てもごく普通の善良なお母さんやお姉さん、女の子達が、濃縮された感情をマグマのようにたぎらせ、一番星の生まれ変わりのような一人の女を破壊しようとする狂った状況。それを重傷を負わずに生き延びることができる女性って、この世に存在するのだろうかと思います。
私自身、けっこういい年齢なのに、そういうポジションになった時はどうしたらいいのか分からないままです。自分は何をしても、どんな発言をしても、状況を変えることはできないと感じます。これは女性なら一生続くのでしょうか。どうしてそんな不毛で苦しい戦いを、女性たちは続けるのでしょうか。
A. 得な部分を享受するなら、付随する不幸も引き受けなければいけない
美人のほうが大変か、醜いほうが苦労が多いかを比べるのは難しいですが、それぞれに苦しい瞬間というのはあるのだろうと思います。目立つほど美しい人の場合、自分に悪意も、なんなら貪欲さもない場面で変に注目を浴びてしまって、周囲から諦めと羨望と憎しみの視線が飛んでくる、なんていうことは確かにあるでしょうし、不躾(ぶしつけ)に性的な眼差しを向けられることも、嫉妬をこじらせた先輩なんかに意地悪されることもありそうです。所詮化粧の上手い非美人巨乳でしかない私は、周囲を払うほどの美人に一度なってみたいと思ってしまいますが、なったらなったで煩わしいことは多いのでしょう。