ソウル明洞のひとり焼肉ショップ「ホンゴジプ」=2025年1月(撮影/ノ・ミンハ)
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 韓国で少し前から「おひとり様専用」の飲食店が増えているという。「今さら?」と思うかもしれないが、ひとりでの食事にマイナスなイメージがつきまとってきたという韓国では大きな変化とみられている。「ホンパブ文化」と呼ばれており、日本の「ひとり飯」とは少しニュアンスが違うらしい。背景には、景気の問題や韓国ならではの政治的な理由もあるようだ。現地の韓国人ジャーナリストが報告する。

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 韓国を代表する観光地、明洞(ミョンドン)。そのメインストリートは、ショッピングやカフェ、韓国料理を楽しむために訪れる外国人観光客で賑わっている。そんな明洞に最近オープンしたのが、韓国人客をターゲットにした「ひとり焼き肉専門店」だ。

 明洞に隣接する地下鉄2号線「乙支路入口(ウルチロイック)」駅の出口付近で、一軒の焼肉店をみつけた。店名には韓国語で「ひとり」を意味する「ホン」が含まれている。外からのぞくと、ひとりで肉を焼いている客の姿がはっきりと見える。

韓国の飲食店は従業員が席に案内しない?

 店に入ってみた。まだランチタイム前にもかかわらず、すでに多くの客が席に座っていた。従業員が店の奥に案内してくれた。韓国の食堂では、客が自分で空席をみつけて座るのが一般的。従業員が案内してくれるサービスが意外に感じられた。

 端末を使って注文するシステムだった。セットメニューは1万9900ウォン(約2040円)と決して安くはない。が、牛バラやカルビ、ロースに加え、ごはん、キムチ、サラダ、スープが含まれている。ひとりで食べるには十分なボリュームだ。

1万9900ウォンのセットメニューで、ひとり余裕を持って気軽に、そしておいしく(撮影/ノ・ミンハ)

 目の前の網で肉を焼き、特製ソースにつけて食べる。肉の量はボリューミーで、ランチタイムにはごはんとキムチのおかわりも自由。味は満足できるレベルだ。誰にも邪魔されず、ユーチューブを見ながらゆっくり食事を楽しめる環境は、ひとり客にとって理想的だ。座席にはスマホの充電用コンセントまで備えられていた。

 食事を終える頃には店内は満席になり、多くの会社員がスマホを眺めながら無言で焼き肉を食べていた。

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