3 薬に対する依存がないので、薬をやめるときもそれほど苦労がない。

 漢方薬には依存性がないので、メンタル不調が改善したら速やかに薬をやめることができます。いきなりやめてしまっても大丈夫な場合もあるし、突然やめることに不安がある場合には、1日分を2日に分けて飲むなどして、徐々に減薬していってやめる場合もあります。いずれにしても、薬をやめても大丈夫な状態に持っていくのが目的ですから、それが達成されたら速やかに治療を終了する方向に持っていきます。これを終診といいますが、この瞬間が医師としての最高の喜びになります。

 漢方の魅力を語り出したらまだまだ話題が尽きませんが、私自身漢方医を志したのは医学生の時代。漢方医となってもう30年を超えました。しかし、漢方医学はまだまだ奥深く、日々学ぶことばかりです。患者さんと向き合い、患者さんに教えてもらいながら、診療をしている毎日です。

 このように漢方はメンタル不調にも効果があるのですが、ストレス社会でメンタルに不調を来す人たちが増える中、まだ漢方が選択肢の一つと考えられていない現状もあります。より多くの人に、漢方という選択肢もあるということを知ってもらいたいと考え、本書のタイトルは『メンタル漢方』としました。メンタルと漢方が結びついたイメージを浸透させる新しい概念を提唱できたらと考えています。

『メンタル漢方 体にやさしい心の治し方』(朝日新聞出版)

『メンタル漢方 体にやさしい心の治し方』(朝日新聞出版)から一部抜粋

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