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三菱UFJ、みずほ、といったメガバンクで、貸金庫からの巨額窃盗事件が相次いで明るみに出たことで、対策に乗り出す金融機関の動きが目立つ。ただ、過去には地方銀行(地銀)や信用金庫(信金)などでも同様の事件は起きており、それらが再発防止に生かされているかは疑問だ。なぜ、貸金庫をめぐる問題は繰り返されるのか。金融機関の現役幹部や元メガバンクの支店長経験者に内情を聞いた。
昨年、三菱UFJ銀行に続き、みずほ銀行でも2019年に、支店の行員が貸金庫から現金数千万円を盗み、懲戒解雇処分にしていたと公表した。テレビ東京が疑惑を報道し、各社も報じた後の発表だった。事件化はされておらず、非公表にしていた。
メガバンクでのトラブルが相次いだことで注目される貸金庫だが、なぜトラブルが起きるのだろうか。
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関東地方のある地銀の幹部が貸金庫の仕組みについて、こう説明する。
「貸金庫業はあくまで銀行ごとに運営するサービスの一つであって、管理体制などルールやチェックの内容が統一されているわけではありません。銀行ごとによっても運用方法が異なります」
銀行ごとに鍵の取り扱い異なる
この幹部の銀行では、貸金庫の数は支店ごとに異なり、100〜200ある。部屋に入るには行員の従業員証が必要で、支店によっては幹部の承認がなければ出入りできないという。
「貸金庫の中身を行員が見ることはできません。うちの場合、貸金庫を開ける際は行員とお客さまが一緒に貸金庫の部屋に行き、お客さま自身が金庫を開けて、中に何かを入れたり、中のものを出したりする際は、行員は見えないようになっています」(前出・地銀幹部)