
では、日本人のミリオネアは? 角谷教授の研究室と「楽天証券AI・データ&ヒューマンラボ」が2023年に実施した調査結果を紹介する。
対象は家計金融資産1億円以上の個人4726名。日本の詳細なミリオネア調査としては、恐らく国内最大規模だ。
5位に一般事務職
職業は1位「法人・団体役員」、2位「法人・団体管理職員」、3位「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」、4位「分類不能の職業」、5位「一般事務従事者」。
総務省の「日本標準職業分類」(中分類)を使っているため用語がやや堅い。角谷教授に補足してもらおう。
「1位の『法人・団体役員』は会社の社長や取締役、監査役、銀行の頭取や顧問など。いわゆる会社や団体の役員です。
2位の『法人・団体管理職員』は会社や団体の部長、課長、工場長。つまり管理職ですね。
(3位はわかりやすいので割愛)
4位の『分類不能の職業』は『その他』なわけですが、想像するに、FIREを含めリタイアされた方も入っていると思われます。
5位は管理職ではない、かつ事務職がメインの方です」
要するに5位は平社員の一般事務。日本のミリオネアの7%近くが一般事務従事者だという。意外だった。
ただ、この調査は米国の「個人金融資産」とは違い、「家計金融資産1億円以上の個人」が対象だ。
米国では夫婦でも家計が別であることが珍しくないが、日本の多くの世帯では生計を一にするケースが多い。
つまり「平社員の一般事務」といっても、高給の会社社長の配偶者がバックにいる可能性はある。
とはいえ家計資産が1億円を超えているのに共働きするケースはそれほど多くないと見られ、日本でも米国同様に「コツコツ型で財を成した人がかなりいる」と解釈するのが妥当だろう。
次に日本のミリオネアの学歴。大卒以上の割合は約86%だった。
日本のミリオネアの学位のうち、学士号取得者の割合は約86%。大学院前半の修士号取得者の割合は約25%。同後半の博士号取得者の割合は約7%。
推計値だが日本全体の「博士まで」の人が日本の25歳以上人口の0.52%だそうなので、これらの数字は非常に高いといえる。