『楽天証券社長と行動ファイナンスの教授が「間違いない資産づくり」を真剣に考えた』(日経BP)から抜粋
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2月13日に発売された『楽天証券社長と行動ファイナンスの教授が「間違いない資産づくり」を真剣に考えた』には、これから投資を始める人にとって役立つ客観的データが多く載っている。本記事では著者および版元の許可を得たうえで、著者に追加取材しつつ内容の一部を抜粋して紹介する。【前後編の前編】

【図表3点】日米の「億り人」の職業と学歴がわかる表はこちら!

 この本は資産づくりに関する「行動ファイナンス」をテーマにした初心者向けの内容だ。

 ただ「行動ファイナンス」という言葉で「???」となってしまう人もいるだろう。

 行動ファイナンスとは何なのか? 本書の著者(共著/楠雄治・楽天証券社長と角谷快彦・広島大学大学院教授)の一人、角谷快彦教授に聞いた。

「伝統的な経済学は常に合理的な行動をする『仮想の人間像』を基にモデルを作りますが、実際の人間は常に合理的に行動するとは限りません。『行動ファイナンス』はこの前提に立って、経済学に心理学の要素を融合させながらさまざまな現象や市場の動きを考察する、比較的新しい分野です」

 確かに、損をするとわかっていても「でも、私はこうする」と合理的ではない選択をすることがある。

「経済から少し離れますが、わかりやすい例でいうと、太るとわかっていても目の前においしそうなショートケーキがあったら食べてしまう(人がいる)、とか」

 そうした「歪み」に着目して経済を俯瞰するのが行動ファイナンス。

すぐそばにミリオネア

 角谷教授は実証研究の専門家だ。実社会のデータを分析し、仮説を検証する。行動ファイナンス、医療経済学が得意分野だという。

 今回の本の中で興味深かったのが「『ミリオネア』は意外と身近な存在」の章だ。

 日頃、自分の「本当の資産額」を人に言うことはあまりないと思うが、持っている人は持っている。本書には、日米のミリオネア……いわゆる「億り人」の職業を集計したデータが載っている。

 まず米国。個人の純金融資産額100万ドル(約1億6000万円)以上を保有する1万人のミリオネアを対象に調査されたものだ。

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米国のミリオネアの職業ベスト5は?