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「コンビニ百里の道をゆく」は、ローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】話題は「AI」と「トランプ大統領」だった ダボス会議の会場はこちら
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先月、スイスの保養地ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に出席してきました。政財界の要人ら約3千人が世界の課題について意見を交わすために毎年行われていて、私は6回目の参加でした。
ダボスに着いてまず印象的だったのは、今年も道路に雪がないこと。1月のダボスは、雪に覆われて歩道も凍っているはずが、温暖化で世界の気候はこんなにも変わってきているのだなと改めて感じました。
今回の大きなトピックは、「AI」そして「トランプ大統領」。この二つはいま、どこに行っても話題の中心です。
AIは、特にそれによる格差について。国による格差もあれば、同じ国内でもAI格差は生まれている。これをどうやって防ぐかという議論。一方で、AIを使ってどんどん差別化(ある意味では格差)をはかるために競争力をつけていくという姿勢を大事にするのが企業、とも言えます。
そこの矛盾があるからこそ、「こうすべきだ」という確固とした意思を持ってAIというものに取り組んでいくことが、国も企業も大切になってくるのではと思います。
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トランプ大統領は、多様性を否定したり、電気自動車についての定量的な目標を取っ払って化石燃料を「掘りまくれ」などの発言が話題です。でもそこは「織り込み済み」ととらえ、過度に反応せず、彼が巻き起こすであろう変化に冷静に対応しようという空気を感じました。トランプ大統領から「名指し」されているか否かにかかわらず、今後、巻き起こるであろうグローバルな変化の中で自分たちはどう変化し、どう変化しないのか。つまり、変化の中でいかに自分たちは変化してチャンスを捉えるか、あるいは変化せずにその土台をしっかりと築き上げるか。そこも2025年度の課題になるな──そんなことを考えさせられた会議でした。
※AERA 2025年3月3日号
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