image02
西成署前で警戒する警察官。窓ガラスは投石で割られ、防御のためベニヤ板をはめ込んでいた=1990年10月、西成区萩之茶屋2丁目、釜日労提供

 西成署前の路上に積み上げた自転車の山には火が放たれた。署の窓ガラスは投石でことごとく割られた。

 投石に使われたのは署の東西を走る歩道の敷石。景観を良くしようと地元の要望で敷かれたものだった。

 これが工具ではがされ、砕かれて投げ込まれた。署長も投石でほおにけがをした。

 投石を防ぐため、ベニヤ板を窓の桟にはめ込んだ。ベニヤ板は路上でサイコロ賭博をするときに使われていて、押収したものが多かった。

「そうでもしないと無防備でこちらがやられてしまう。でも、板でふさいだので暗くて、朝か夜かもずっとわからなかった」

 署の廊下や階段では汗だくの機動隊員が交代交代で体を休めていた。歩く場所もないくらいだった。

【後編】<コンビニ襲撃、自販機荒らし、駅全焼……1990年の西成暴動で元署員が「なすすべがなかった」と語る理由>に続く
 

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼