居酒屋「グランマ号」の建物の内扉にはのぞき穴がある。賭場だった頃の名残という
店はかつて賭場があったとされる場所。開店当初は常連客らしき男性から「券は買えるのか?」と声をかけられた。奥の倉庫には頑丈な鍵が付いた扉やのぞき窓があり、警察が踏み込んだときに時間稼ぎができるような造りになっている。
「物珍しさやこわいもの見たさでカマをのぞきに来る人がいる。カマに住む人間でも、ときに弱い人がさらに弱い人を非難する。そんな内外の差別はあるけど、それも包容できるまち」。
釜ケ崎に漂着し、居続ける理由をこう話す。「僕が持っている服は3着の作業着だけやけど、それで十分にやっていける楽さがある。一生このまちがいいなって最近、思うんです」
《現在発売中の『西成DEEPインサイド』では、日雇い歴45年の「アシュラ」氏、炊き出しを続ける「ワルビッシュ」など、西成に生きる人々の話を収録しています》
まちのリアルに迫ったノンフィクション。
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