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「映画史に残る惨劇」と言われた剛力彩芽
「映画史に残る惨劇」とまで言われてしまったのは、12年公開の「エイリアン」シリーズの前日譚「プロメテウス」でノオミ・ラパス演じる主人公エリザベスの吹き替えを担当した剛力彩芽だった。
「当時は世間から“ゴリ押し”と揶揄されるほど、あらゆる番組や映画に出演していた時期でした。声優の仕事はこれが初めてでしたが、主人公のキャラクターや年齢とまったく合っておらず、作品のファンから猛批判を食らいました。にもかかわらず、彼女の勢いは変わらず、14年には『X-MEN: フューチャー&パスト』で青い肌を持つ特徴的なキャラの吹き替えを担当。しかし、やはり不評の嵐となり、15年に新たなシーンを追加した『ローグ・エディション』が発売された際にはプロの声優に差し替えられていました」(エンタメ誌編集者)
2006年のハリウッドのホラー映画「呪怨 パンデミック」は、主要キャストの吹き替えを芸人のハリセンボン、森三中、まちゃまちゃ、あべこうじの吉本芸人たちが担当する謎のキャスティングだった。
清水崇監督は「お笑い芸人とホラーの組み合わせは面白い」とその狙いを語っていたものの、ホラー映画としての恐怖感が完全に失われ、「吹き替えが笑える」と逆の意味で話題に。
「日本公開時にはほとんどの映画館で字幕版ではなく吹き替え版で上映されていたため、呪怨ファンは泣く泣く劇場で鑑賞。DVD発売時には芸人たちの吹き替えは全てプロの声優に差し変わりました」(同)
2008年公開のアクション映画「ウォンテッド」では、主人公の吹き替えをロックシンガーのDAIGOが担当している。しかし、彼の特徴的な緩いしゃべり方が、後半のシリアスな展開にまったくそぐわず、映画公開後や地上波放送後には「成長したはずの主人公が最後までふにゃふにゃしている」「ただのDAIGOだ」とネットが大荒れになった。
「陽気なDAIGOも『とりあえずちょっと旅にでるので、ぼくを探さないでください…』とSNSで投稿し、ショックを隠せない様子でした」(芸能記者)
12年公開の「アベンジャーズ」では、“世界最強の女スパイ”ブラック・ウィドウ役の吹き替えに米倉涼子が起用された。女優としての知名度は抜群だが、声優経験はほぼゼロだった米倉。そのため、感情表現が乏しく、キャラクターに合っていないと批判された。