絞られた体で夏場のトレーニング(本人オフィシャルブログから)

 たぶん、そうですね。僕の中では、「千人に一人の男」だと思っています(笑)。一回のジャンプで、一生を棒にふるようなことも起こり得る競技です。そこまでのけがをせずにやってこられて、上位までいけるというのは、日々の積み重ねもあります。天才というのは、たぶん練習をしなくても飛んだり、何でも出来ちゃったりする人だと思うのですが、僕の場合、ちゃんと練習しつつも、ひらめいたりする「脳の力」というのが、おそらく他の人より良かったんだろうと思います。

――脳の働きが大切になってくるんですね

 40歳とか50歳を超えて、体はもちろんですが、頭の中、脳を疲れさせないというのを一番に考えるようにしています。今日もそうですが、試合とか練習の後って、体というより脳が疲れるんです。なので、この脳疲労をなるべくためないようにしています。競技場から離れたら、ジャンプのこと、仕事のことは一切考えないようにしています。

脳疲労を取ってパフォーマンス向上

 子どもと遊んだり、温泉に行ったり、自分の好きなことをして、脳のストレス解消をしています。それが大きいですね。この年代の方は、体のケアに加えて脳疲労をとることが、パフォーマンスを上げるためにはすごく重要だと思います。「明日から頑張るぞ!」という気持ちにもなると思うので。

――体のケアやトレーニングはどのように変わってきましたか

 若いころは他のやり方を知らなかったということもありますが、「質より量」という感じで休むことなくガンガンやっていました。それはそれで今の自分に生かされているとは思います。そこからだんだん「量より質」となり、無駄な動きをせずに最短で世界のトップに立てるようなトレーニングをすべく、練習環境から変えていくようになりました。

 外国人のコーチを入れたことで少しずつ変わっていったという感じです。今はスロベニア人のコーチです。ジャンプには流行があるので、ヨーロッパの主流の技術を教えてもらうことができたり、最新のマテリアル(ジャンプ関連の用具や器具)などを素早く手に入ることができたりするというのが、大きなメリットだと考えています。

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