愛子さま

 そこで気になるのは小室眞子さんのことだ。内親王として英国に留学し、レスター大学で博物館学の修士号を取られている。できれば彬子さまのようにその成果を生かして頂きたいところだが、米メトロポリタン美術館で働く、という話は立ち消えになったのだろうか。

日本赤十字社を支える

 そして愛子さま就職された日本赤十字社は、実は皇室との縁が歴史的に深い。名誉総裁は皇后・雅子さま、名誉副総裁は秋篠宮紀子妃、常陸宮華子妃、三笠宮信子妃、高円宮久子妃と女性皇族のお名前が並ぶ。

 日本赤十字社は1877(明治10)年、佐野常民によって設立された。佐野はパリ万博で赤十字の展示を見て、紛争時には救護団体が「敵味方の区別なく救う」人道精神に感銘を受けたといい、黎明期の財政を支えたのが皇室だった。同年に「奇特なこと」としてお金を寄付、明治天皇の妃である昭憲皇太后は1883(明治16)年にお手許金を毎年贈ることを決め、1887(明治20)年には明治天皇・昭憲皇太后からのご下賜金を毎年補助することを宮内省が決めた。1912(明治45)年に創設された「昭憲皇太后基金」は、災害救護や開発支援を目的に昭憲皇太后が寄贈された10万円(現在の価値でおよそ3億5千万円相当)を基に創設されており、100年以上たった今も存続、これまで170以上の国と地域に、昭憲皇太后の命日の4月11日に配分されている。

結婚後も皇室に残る案

 日赤への就職に当たり、宮内記者会からの質問に愛子さまは「社会に直接的に貢献できる日赤の活動に魅力を感じ、両親に相談いたしましたところ、社会のお役に立てるとても良いお仕事なのではないかと背中を押していただき、日赤でお勤めすることを希望いたしました」と回答されている。

 おりしも皇族数確保に向けた与野党協議が1月に再開された。「安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議」が2021年にまとめた報告書は(1)女性皇族が結婚後も皇族に残る(2)旧皇族の男系男子を養子として皇族に復帰させる──の2案を示しており、昨年9月には岸田文雄首相(当時)に、各党代表者からの意見聴取をまとめた中間報告を提出している。この段階では、女性皇族が結婚後も皇室に残る案についてはおおむね共通認識が得られているといい、2~3月にかけて集中的な議論が行われる見通しだ。

 愛子さまの進路には当初、大学院進学や留学が噂されていた。だが日赤を選ばれたのは、雅子さまを支え、女性皇族としての務めを一生、果たされようとする覚悟があったからではないだろうか。その潔さは清々しく、皇室の未来は明るいと感じられる。

(昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員・藤澤志穂子)

AERA 2025年2月17日号

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