皇后の雅子さま
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 三笠宮家の彬子さまのオックスフォード大院での留学記が文庫化されてベストセラーになった。日本赤十字社に入った愛子さまが今後、積んでいくキャリアはどのようなものか。AERA 2025年2月17日号より。

【写真】留学せずに日本赤十字社に就職された愛子さま

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 雅子さまはかつて私が通っていた学習院大学に講演に来られたことがある。1986年か87年のこと、小和田雅子さんとして、東京大学法学部在学中に外交官試験に合格、外務省入省が内定された頃だ。当時の国際法の教授(故人)が、お父様の小和田恒さんと親しかったという縁での、内輪の講演会であった。

 この教授による「“雅子ちゃん”は小さい頃から優秀で、英語のみならず、複数の言語、ロシア語まで堪能で、ハーバード大学を優等賞で卒業、『東大にでも行こうか』と法学部に編入して……」といった説明と、美人で華やかで、はきはきした物言いと才気煥発なご様子に、「本物の国際派キャリアウーマン」を見た思いがした。

 雅子さまも三笠宮家の彬子さまのように、論文を書いて大学で教鞭をとられるだけの実力は当然お持ちだろう。だが政治や経済、外交に関する研究はお立場上、難しそうだ。

オックスフォードと縁

 いっぽう「皇室外交」で、雅子さまならではのご経験をたくさんお持ちではないだろうか。2019年10月の「即位の礼」では、来日されたデンマークのメアリー皇太子妃(当時)や、スペインのレティシア王妃との、ご親密そうなご様子が垣間見られた。ともにご結婚前にキャリアウーマンであったという共通項がある。そんな「皇室外交」の記録を残し、できれば著作として発表して頂ける日が来ることを願っている。

 雅子さまは外務省からオックスフォード大学に研修留学されているが、皇族方は不思議と同大との縁が深い。天皇陛下秋篠宮さま、彬子さまのお父様の寛仁親王も同大への留学経験がおありだ。さかのぼれば昭和天皇が皇太子時代の1921年に半年間の欧州外遊をして、英国では国王ジョージ5世ら王室のもてなしを受け、同大学にも立ち寄っている。そんな歴史も背景にあるだろう。彬子さまも留学中にエリザベス女王にお茶に招かれた思い出を綴られている。

 彬子さまの留学記『赤と青のガウン』によれば、彬子さまの留学は寛仁親王が強く勧めたことがきっかけだった。学習院大学には1年間、オックスフォード大学への交換留学制度があり、渡航前に現在の天皇・皇后両陛下に様子を聞きに行かれている。大学卒業後に再び渡英、5年間をかけて博士号を取得された。留学記は寛仁親王が、「長期間海外に出て公務をしない以上、それを支えて下さった国民の皆様に対して皇族としてきちんとその成果を報告する義務があると考えておられた」ことで出版された。

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結婚後も皇室に残る案